ゼミキャンプを終えて Ⅱ
園長が寝た場所は、この間作ったばかりの高床式の観察小屋(子どもたちは秘密基地と呼んでいるが)で寝ることになりました。まだ未完成で窓がないので風がビュービュー入ってくるし、小屋自体が隙間だらけの粗末な小屋です。ドアはつけたけどうまく閉まらずドアを閉めても自動ドアのようにすぐに空いてしまうのです。(きっと水平がしっかりと取れていないせいでしょう)子どもが一人だけどうしても観察小屋に泊まりたいというので園長も付き合いました。寝袋の2枚重ねだったので寒くはなかったけど板の間に直接寝るのでちょっと大変です。慣れているつもりでもなかなか眠れませんでした。しかも一緒に泊まった男の子が何回もむくっと起き上がりおしっこに行くのです。高床式なのでテラスから直接おしっこをさせました。一晩で7~8回ほど起きたでしょうか?
次の朝なんとなく目が覚めると朝の6時、朝食の食パンをパン屋さんに注文しておいたら6時ごろ配達に来てくれました。何人かの子どもたちはすでに起きて外で遊んでいました。子どものパワーにはかないません。朝もとっても寒かったので火おこしをしました。朝から煙にまみれて暖を取っている子どもたち。なんだかたくましさを感じてきました。7時になったら全員が起きてきたので朝食の準備です。朝食は食パンのオープンサンド。グループごとにきゅうりを切ったり、トマトを切ったり、レタスをちぎったりして準備しました。その間にお昼ご飯を釜とへっついを用意して薪でお米を炊きます。学生も初めての体験でしたがご飯の炊き方を教えてやるととっても上手にたくことができました。(でもちょっと芯があったかな?)子どもたちは朝食を食べ終わると、カヌー遊びの用意です。その間に園長とカヌー係の学生が園へカヌーを取りに行きます。カヌーを浮かべる沼は粕川町室沢地区の所有なので事前に区長さんにお願いして沼へ入る柵のカギを借りておきました。(一応許可を取って沼遊びをしているのです)大型のカナディアンカヌー2艇とカヤック(一人乗り)を持ってきてライフジャケットも用意しました。ライフジャケットは木の実幼稚園の備品です。みんなで準備運動をしてライフジャケットを着て、いよいよカヌーに乗ります。もちろん学生はカヌーをこぐのは初めて。子どもたちにはしっかりとお尻をついて座るように指導し何人かずつカヌーに乗り込みました。バランスのとり方がなかなか難しく最初はおっかなびっくり、キャーキャー言いながらカヌーを漕いでいましたがそのうちに慣れてきて気持ちよさそうに漕いでいる姿が見られました。万が一カヌーがひっくり返ったら園長も沼に飛び込んで助けに行くことを覚悟していましたが、特にひっくり返ることなく楽しく遊ぶことができました。(もっとも今までもそんなことはなかったけど)沼の透明度もよくとても気持ちいい体験でした。
カヌー遊びが終わってキャンプ場に戻ってくると少し遊んでお昼の用意です。お昼は朝に炊いたご飯でラップおにぎりを作ります。子どもたちにサランラップを一枚ずつ渡し、その上におにぎりの素を混ぜ込んだご飯を乗せてやります。子どもたちが自分たちで思い思いのおにぎりを作ります。三角おにぎりやハート型おにぎり、星形おにぎりや、雪だるまおにぎり、いろいろな形のおにぎりができました。このころには子どもたちも学生もすっかり打ち解けてとても楽しそうです。みんなでおいしくおにぎりを食べてごちそう様。もう午後1時になったので帰る準備です。全員が荷物をまとめて外へ運びだし、軽トラックに詰め込みます。テントで寝た人たちはテントを片付けます。キャビンやティピーで寝た人たちも掃除をしてきれいに片づけました。そしてグループごとに記念写真を撮って、最後に全体での集合写真。そしてグループごとに並んで幼稚園まで戻りました。園長が軽トラックで荷物を持ってくると思買えの時間前だけどたくさんの保護者の方たちが待っていました。子どもたちの姿を今か今かと待ち構えているようでした。保護者の方たちもきっと初めての経験で初めての場所に泊まった子どもたちのことを考えるとなかなか眠れなかったのかなと思いました。そして子どもたちが帰ってくると、お母さんの顔を見て走り寄る子、抱き合う姿など、感動的な場面が見られました。子どもたちは真っ黒で汚い顔をしていましたが、みんなニコニコ笑顔でとってもいい表情でした。
今回のキャンプは家庭の管理から離れ、自分たちのことは自分でして、自分で考えるということを多く取り入れました。そして夜に食べたナンはピザ窯で焼いたのですが、灰や炭がついてはっきり言ってあまり清潔ではありません。ティピーではカマドウマがたくさんいて、トイレは工事現場の簡易トイレ。決してきれいなトイレとは言いません。いろんな虫を触りました。いろんな木の実を拾いました。でもそんな環境の中で子どもたちの心はたくましく、あまり細かいことは気にしなくなったように感じます。もちろん学生もちょっとしたことで大騒ぎしていたのが、だんだんと気にしなくなってきたようです。心がたくましくなってきたのです。ちょっとしたことでは気にしない。そんなたくましさが人間ほしいですね。
こんなことを話していた学生がいました。「このキャンプへ来て良かったかもしれない。私はスマホ依存症になりかけていたかもしれない。でもここへ来るとスマホがなくても全然気にならない。よかった。スマホを見る時間もないし。家にいるときはスマホばっかり見ているけど、暇すぎたのかな?」とつぶやいていました。森ではスマホもテレビもパソコンもありません。でも全然気になりません。それよりも面白いことがいっぱいあるのだから。ゲームをしたりテレビを見たり、そんなことをしている暇もないほど遊びやキャンプ生活に夢中になってしまうのです。人間らしい生活が送れるようになるのです。
考えてみればスマホやコンピューターゲームに夢中になるのって、暇だからかな?やることがないからなのかな?と思います。機械に振り回され機械にもてあそばれているような最近の子どもたち。そしてゲーム好きの大人たち。たまには自然の中に出て思いっきり遊ぶ体験をしてほしいなと感じた今回のキャンプでした。
ついでに最近のちょっと気になること : それはポケモンGOというスマホのゲームアプリです。架空のものが現実の世界の中で見えてしまうということ。バーチャルリアリティーというとても怖い現象になってしまいます。現実の世界と画像の世界が混同してしまうこと。しかも人の迷惑顧みず自分のことだけしか考えられないという状況が多くの報道でも流れていました。入ってはいけないところへ入って行ったり、時間に関係なく深夜も徘徊していたり、しかもいい大人がそんなことをやっているのです。恐ろしいことに親が子供に携帯を持たせてポケモンGOをやらせている人もいるようです。一度見たことがありましたがお父さんが娘に携帯を持たせて一緒に歩いているのですが、一言も会話がありませんでした。それよりも体を使って子どもと思いっきり遊べばいいのにと思いました。
ある行政機関や観光地では人がいっぱい集まって観光振興につながるからいいとか、外を歩き回るから健康になっていいなどと無責任なことをいう大臣もいました。でも結局、企業が金儲けできるということで受け入れられているように感じます。
森の中で虫を探したり、草花を探したり食べられる木の実を探して食べたり、その方がよっぽど人間らしいし、心の成長にもつながるし、もっとたくさんの人たちが実体験を通して感じる心を持ってくれるといいなと思うばかりです。メディアリテラシー教育という言葉が最近出てくるようになりました。メディアの発展に伴い、いろいろな弊害が出てきているのです。私たちもメディアへのかかわり方を十分に考えていかなければならない時代になってきたのではないでしょうか。
園長
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